北部沿岸地域の経済発展を牽引する都市を目指すなか、ハイフォン市(Hai Phong)は民間企業部門が顕著な成長を遂げているのを実感しています。企業数、地域総生産(GRDP)への貢献度、各産業分野への進出拡大などにより、この部門の活力と重要性が明らかになっています。しかし、多くの専門家は、ハイフォンの民間経済の「飛躍」は、政府や社会が期待する潜在力にはまだ達していないと見ています。
過去10年を振り返ると、民間企業の飛躍的な進展がうかがえます。2017年の登録企業数は約28,000社だったのが、2024年末には約40,000社に達しました。ここ5年間、民間部門は市の経済成長に約40~48%貢献しており、この数字は地域の民間投資家の活力と向上心を示しています。彼らの存在感の拡大は、雇用の創出、所得の向上、生産・経営基盤の拡張、さらには多くの分野での革新を後押ししました。
しかし、これらの明るい成果の裏には課題も残ります。量的成長は進んでも、質的転換には至っていません。ハイフォンの多くの民間企業は超小規模・小規模・中小企業にとどまり、生産規模が限られ、技術力が低く、内部連携にも課題があります。そのため、この成長が構造的変化や経済全体に広がる波及力を持つには至っていません。一方で、ハイフォンは北部ベトナム有数のインフラを誇り、物流・港湾・工業・サービスの中心地であり、数多くの近代的インダストリアル・パークを擁し、海外直接投資の誘致先としても注目されています。にもかかわらず、国内の民間企業は外資系企業のバリューチェーンに参画できず、地場の支援産業も期待を下回る発展にとどまっています。この現象は、潜在力と現実の間に大きなギャップがあることを物語っています。
この状況の原因は、制度的要因と企業側要因の両面にあります。制度面では、市政府は多くのインセンティブ政策を実施しているものの、法規制体系には重複や不整合が残っています。法令の頻繁かつ非一貫的な変化により、投資環境が不安定になり、企業が長期戦略を描きにくい状況です。加えて、ベトナム全体とくにハイフォンでは、他のASEAN諸国と比べても企業運営コストが依然として高く、資金調達、土地取得、高品質な人材へのアクセスが制限されています。企業側では、イノベーションマインドが欠如し、事業モデル変革が遅れがちで、技術投資や現地人材育成への取り組みが不十分です。国際競争力が弱く、国内市場でも後れを取るケースが目立ちます。
本当の飛躍を導くには、体系的かつ抜本的な方策が不可欠です。まず、市政府は制度と政策を一貫性と安定性、透明性をもって整備し続ける必要があります。投資・経営環境を実質的に改善し、企業が一時的な成功ではなく長期的に成長できる仕組みを確立するべきです。同時に、資金調達、科学技術の適用、デジタル化、イノベーションへのアクセスを支援する政策を強化することが重要です。政府はまた、起業家支援エコシステムの構築、企業家精神の醸成、中堅・大規模企業の育成において、主導的役割を果たす必要があります。
企業側では、マインドセットの転換が鍵となります。ハイフォン民間企業は、デジタル経済の潮流を先取りし、品質を向上させ、グローバルサプライチェーンへの参加に積極的であるべきです。人材への系統的投資、経営力の強化、国内ブランドの育成を長期戦略として据えなければ、今日の激しい市場競争では生き残りが難しいでしょう。
民間企業は、ハイフォンの経済成長の重要な支柱であるだけでなく、都市の未来の姿を形作る原動力でもあります。この「飛躍」を持続可能な力にするには、国家と企業の緊密な協力、制度的支援と起業家側の自律・革新精神との連携が不可欠です。制度上の障壁が取り除かれ、潜在力が開花し、発展観が更新されたとき、ハイフォンの民間部門は大きな突破口を迎え、同市の国経済における位置づけを高め、ベトナム民間経済の統合時代におけるモデルとなるでしょう。